後悔しない支出5原則|お金の「使いどき」を逃さない生き方

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後悔しない支出5原則|お金の「使いどき」を逃さない生き方

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後悔しない支出5原則|お金の「使いどき」を逃さない生き方

「老後が心配だから、もう少し貯めてから旅行に行こう」

「退職して時間ができたら、夫婦でゆっくり出かけよう」

「落ち着いたら、ずっとやりたかった趣味を始めよう」

——こうした言葉を、あなたも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。

決して間違った考えではありません。将来に備えるのは大切なことです。

でも、ひとつだけ、静かに立ち止まって考えてほしいことがあります。

その「いつか」に、今と同じ体力・健康・家族との時間は、本当に残っているでしょうか。

この記事でお伝えしたいのは、「もっと使いましょう」でも「もっと貯めましょう」でもありません。お金には金額のほかに、もうひとつ見落としがちな「価値」があるという話です。そして、その視点を持つだけで、あなたのお金の使い方は、きっと少し変わります。


なぜ、私たちはお金を使うのが怖くなるのか

お金を使うのが怖いのは、あなたが慎重だからではなく、「使った後の後悔」ばかりが見えて、「使わなかった後悔」が見えにくいからです。

50代、60代になると、多くの人が「守り」の意識に切り替わります。子どもの独立、住宅ローンの完済、そして退職後の生活。人生の後半戦を意識すればするほど、「減らしたくない」という気持ちが強くなるのは自然なことです。

実際、日本人の平均寿命は延び続けています。2024年の簡易生命表によれば、男性の平均寿命は81.09年、女性は87.13年。65歳まで生きた人は、男性でさらに約19年、女性で約24年の余命があるとされています。「人生100年時代」と言われるなか、老後の期間が長くなれば、備えたい気持ちが増すのも当然でしょう。

さらに、物価も上がっています。2024年の二人以上世帯の消費支出は、1か月あたり平均約30万円。物価変動を除いた実質では前年より減少しており、「同じ生活を維持するのにお金がかかるようになった」という実感を、多くの人が持っています。

こうした状況で「貯めておこう」と考えるのは、まったく理にかなっています。

問題は、その慎重さが、いつの間にか「使えない」に変わってしまうことです。

「いくらあれば安心か」という問いには、実は終わりがありません。1,000万円貯めれば1,500万円が欲しくなり、2,000万円あっても「まだ足りない気がする」。不安は、金額では埋まらないのです。

そして気づいたときには、貯金は増えたけれど、旅行にも行かず、趣味も始めず、ただ通帳の数字を眺めている——そんな後半生になりかねません。

節約とは、お金を使わないことではありません。本当に大切なものに使えるよう、優先順位をつけることです。


「お金の価値」は、年齢によって変わる

ここで、この記事の中心となる、少し意外な考え方をお伝えします。

銀行口座の中の100万円は、50歳でも70歳でも100万円です。金額は変わりません。しかし、その100万円で「できること」は、年齢とともに確実に変わっていきます。

考えてみてください。

  • 100万円で行ける海外旅行。50歳の体力で歩き回る旅と、75歳で足腰を気づかいながらの旅は、同じ100万円でも中身がまったく違います。
  • 100万円で始める新しい趣味。60歳で覚えるスキーやダイビングと、80歳から挑戦するそれとでは、続けられる年数も、楽しめる度合いも異なります。
  • 100万円で親と行く温泉旅行。親が元気なうちと、介護が必要になってからとでは、「一緒に出かける」という言葉の意味そのものが変わってしまいます。

つまり、お金には「金額」という価値と、「使える時間」という、もうひとつの価値があるのです。

これを式にするなら、こうなります。

お金の本当の価値 = 金額 × 健康 × 時間

金額だけを見ていると、この掛け算の後ろ半分を見落とします。そして厄介なことに、「健康」と「時間」は、貯金と違って放っておくと目減りしていくのです。

ここで、少し立ち止まって考えてみてください。

今、あなたが「お金のために」我慢していることは、10年後でも同じように楽しめることでしょうか。

答えを急ぐ必要はありません。ただ、一度考えてみる価値のある問いです。


後悔には「使った後悔」と「使わなかった後悔」がある

私たちは普段、「お金の後悔」というと、こんなことを思い浮かべます。

  • 高い買い物をして無駄にした
  • 衝動買いをして後で反省した
  • 見栄で買ったものが使われずに眠っている

これらは確かに後悔です。「使った後悔」ですね。

でも、もうひとつの後悔があります。それは、**「使わなかった後悔」**です。

  • 元気なうちに行けたはずの旅行に、行かなかった
  • 気力があるうちに始められた趣味を、始めなかった
  • 親が元気なうちに作れたはずの思い出を、作らなかった
  • 子どもが家にいた時期に過ごせた時間を、「お金がもったいない」と過ごさなかった

この「使わなかった後悔」の恐ろしいところは、後悔していることにすら、なかなか気づけないという点です。無駄遣いは通帳に残るのでわかりやすいですが、「行かなかった旅行」はどこにも記録されません。だから、多くの人が気づかないまま、機会を失っていきます。

使わないことにも、機会損失という、目に見えない支出があるのです。

高齢になってから「もっと貯めておけばよかった」と後悔する人と、「もっとやっておけばよかった」と後悔する人。あなたが80歳になったとき、強く感じるのは、どちらでしょうか。

多くの人生の先輩たちが語るのは、実は後者だと言われています。使いすぎた後悔よりも、やらなかった後悔のほうが、長く胸に残るのです。


一番高い買い物は、「モノ」ではなく「時間」かもしれない

もうひとつ、見方を変えてみましょう。

お金を使って、こんなことができます。

  • 時短家電を買って、家事の時間を減らす
  • 少し高くても、乗り換えの少ない交通手段を選ぶ
  • 面倒な作業を外注して、自分の時間を空ける
  • 健康に投資して、動ける期間を延ばす

これらは、一見すると「ただの消費」に見えます。でも、見方を変えれば、残りの人生の時間を買う行為なのです。

たとえば、食洗機を10万円で買ったとします。毎日30分の皿洗いから解放されるなら、1年で約180時間。その時間を、家族との会話や、好きなことに使えます。10万円は「消えたお金」ではなく、「取り戻した時間」への投資だったわけです。

だからこそ、支出を「価格」だけで判断するのは、もったいない。

「安い=得」とは限りません。

3,000円で買った服を一度も着なければ、1回あたりのコストは3,000円です。一方、3万円のコートを10年間、毎冬着続ければ、1シーズンあたり3,000円。1回あたりに換算すれば、はるかに安い。

さらに言えば、「高かったけれど、一生忘れられない経験」は、金額では測れません。子どもと登った山、夫婦で見た海外の夕日、親と交わした最後の旅の会話——これらは、人生全体で見れば、驚くほど「安い買い物」だったと感じるかもしれないのです。

価格ではなく、**「人生の1時間あたり、どれだけの価値があるか」**で考える。この視点を持つだけで、お金の使い方の質は、大きく変わります。


後悔しない支出5原則

では、具体的に何にお金を使えば、後悔が少なくなるのでしょうか。ここからは、「後悔しない支出5原則」として、5つの方向をご紹介します。

原則1:健康に使う

健康への支出は、モノを増やすためではなく、「将来できることを減らさない」ための支出です。

運動、人間ドック、歯の治療、質のよい睡眠、バランスの取れた食事。これらは地味で、すぐに効果が見えにくいものです。でも、健康は「動ける期間」を延ばす、最も確実な投資と言えます。

ここで、少し衝撃的なデータをお伝えします。日本人の平均寿命は男性81年・女性87年ですが、「健康寿命」——つまり、介護などを必要とせず、自立して生活できる期間は、2022年時点で男性が約72.6年、女性が約75.5年です。

その差、男性で約8年、女性で約11年

これは何を意味するか。人生の最後の8年から11年は、多くの人にとって、日常生活に何らかの制限がある期間になり得る、ということです。

言い換えれば、あなたが「自由に動ける時間」は、平均寿命よりもずっと短いかもしれない。だからこそ、その動ける時間を1年でも延ばす健康への投資は、何よりも価値があるのです。

原則2:時間を買う

時短家電やサービスへの支出は、「節約できた金額」ではなく、「取り戻せた時間」で価値を測りましょう。

食洗機、ロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機。あるいは、家事代行、宅配サービス、少し高いけれど早く着く新幹線。

これらを「贅沢」と感じる方もいるでしょう。でも、50代・60代にとって、時間は若い頃よりもずっと貴重です。残された「自由に動ける時間」が限られているなら、その時間を面倒な作業に使うのは、本当にもったいない。

お金で時間を買い、その時間を大切な人や好きなことに回す。これは立派な「投資」です。

原則3:経験に使う

経験への支出は、消えてなくなる浪費ではなく、記憶・人間関係・自信として人生に残る投資になり得ます。

旅行、趣味、学び、新しい挑戦。モノは古くなり、飽きて、いつか手放します。でも、経験は違います。あの旅で見た景色、初めて何かができた喜び、そこで出会った人——これらは、色あせながらも、一生あなたの中に残ります。

そして経験は、年齢とともに「できること」が変わっていく、最も「旬」のあるお金の使い道でもあります。今しかできない経験に、使いどきを逃さず使う。それが後悔を減らします。

原則4:大切な人との時間に使う

お金は後からでも稼げます。しかし、同じ年齢の家族と過ごす時間は、二度と買い戻せません。

これは、5原則の中でも、特に心に留めておいてほしいことです。

子どもが10歳のときに一緒に過ごせる時間は、その1年しかありません。親が元気に旅行できる時期にも、必ず終わりがあります。配偶者と二人で自由に動ける時間も、永遠には続きません。

家族との食事、親を連れての旅行、友人との集まり。これらにかかるお金を「もったいない」と削ってしまうと、後で最も強い後悔として返ってくることが多いのです。

10年前の自分に戻れるとしたら、あなたは何にお金を使いたいですか。

その答えの多くは、モノではなく、「誰かと過ごした時間」ではないでしょうか。だとすれば、その答えは、これからの10年にも当てはまります。

原則5:未来の安心にも使う

今を楽しむだけでは、後悔しない人生にはなりません。未来の自分にも、お金を「渡して」おく必要があります。

ここまで「使うこと」の大切さをお伝えしてきましたが、決して「貯金をやめて使い切りましょう」という話ではありません。それでは本末転倒です。

生活防衛資金、医療・介護への備え、そして資産形成。これらは、未来の自分が安心して暮らすための、いわば「未来の自分への仕送り」です。

日本でも、将来に備える人は着実に増えています。2024年に拡充された新しいNISA制度の口座数は、2025年6月末時点で約2,696万口座に達しました。多くの人が、少しずつでも未来のためにお金を働かせ始めているのです。

大切なのは、バランスです。**未来の安心を確保したうえで、今しかできないことにも使う。**この両立こそが、5原則の締めくくりです。


自分のお金の使い方を決める、3つの質問

「使うべきか、貯めるべきか」で迷ったとき、次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。判断の助けになります。

質問1:これは、10年後でもできることか。

10年後でもできることなら、急ぐ必要はないかもしれません。でも、体力や家族の状況を考えて「今しかできない」なら、それは優先すべき支出です。

質問2:この支出は、人生に何を残すか。

モノとして残るのか、記憶として残るのか、健康として残るのか。「何も残らない」なら、少し立ち止まって考えてもいいでしょう。

質問3:これは、未来の安心を壊さない範囲か。

どんなに価値のある経験でも、生活防衛資金や必要な備えを削ってまで使うのは危険です。安心の土台を守った上での支出かを、確認しましょう。

この3つを通せば、「使いすぎ」も「使わなさすぎ」も防げます。


今日からできる「人生予算」の作り方

最後に、具体的な仕組みをご提案します。それが、**「今しかできないこと予算」**を作ることです。

多くの人は、家計を「生活費」と「貯金・老後資金」の2つに分けています。でも、この分け方だと、「今を楽しむお金」の居場所がありません。だから、いつまでも後回しになるのです。

そこで、この2つに加えて、3つ目の枠を作ります。

  1. 生活費(毎月の暮らしを支えるお金)
  2. 未来の安心資金(老後資金・生活防衛資金・NISAなど)
  3. 今しかできないこと予算(旅行・経験・大切な人との時間など)

金額は、一律に「いくら」とは決められません。家計の状況、年金の見込み、資産、家族構成によって、適正な額は人それぞれ違うからです。まずは、無理のない範囲で、年間の予算を決めてみてください。たとえば「年に一度は、今しかできないことに使う」と決めるだけでも、人生は変わります。

ここで思い出してほしいのが、架空の例ですが、55歳の会社員Aさんの話です。

Aさんには、ある程度の貯金があります。でも老後が不安で、毎年「来年こそ夫婦で旅行を」と思いながら、先送りを続けてきました。「65歳になって退職すれば、時間ができる。そのときゆっくり行けばいい」と。

でも、この考えには、大きな見落としがあります。65歳になったとき、今と同じ健康状態でいられるとは限らないのです。時間ができても、体力が追いつかないかもしれない。夫婦のどちらかが、体調を崩しているかもしれない。

かといって、老後資金を考えずに毎年高額な旅行を続けるのも、それはそれでリスクがあります。

そこでAさんに必要なのは、「全部使う」でも「全部我慢する」でもない、第三の道です。**毎年、決まった額を「今しかできないこと予算」として確保し、その範囲で、今を楽しむ。**未来の安心を守りながら、今の自分も生かす。この仕組みさえあれば、Aさんは罪悪感なく旅行に行けますし、老後の備えも崩れません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 50代は、いくら貯金していればお金を使ってもいいですか。

一律の金額はありません。判断の基準になるのは、貯金額そのものより、「生活費・老後資金・生活防衛資金といった必要な備えが確保できているか」です。それらの土台がある上でなら、今しかできないことに使う予算を持つことは、むしろ健全な資産管理と言えます。金額ではなく、備えとのバランスで考えましょう。

Q2. 老後資金が心配で、お金を使えません。どう考えればいいですか。

まず、「いくらあれば安心か」という不安は、金額をいくら増やしても消えにくいものだと知ってください。大切なのは、必要な備え(生活費・医療介護費・生活防衛資金)を先に確保し、それとは別枠で「今使ってよいお金」を明確にすることです。使ってよい枠を決めれば、その範囲での支出に罪悪感を持つ必要はなくなります。

Q3. 後悔しないお金の使い道は、何ですか。

年齢とともに価値が変わるもの——健康、時間、経験、大切な人との時間——への支出が、後悔の少ない使い道とされています。逆に、「10年後でもできること」は、必ずしも今急ぐ必要はありません。「今しかできないか」を基準にすると、優先順位が見えてきます。

Q4. 60代から旅行にお金を使っても、大丈夫でしょうか。

必要な備えが確保できているなら、むしろ積極的に検討したい支出です。健康寿命を考えると、自由に動ける時間には限りがあります。「もっと歳をとってから」と先送りするほど、旅行の中身は体力に左右されます。行きたい場所があるなら、動ける今こそが「使いどき」かもしれません。

Q5. 貯金と経験、どちらを優先すべきですか。

どちらか一方ではなく、両立が答えです。ただし、貯金は「後からでも取り戻せる」のに対し、ある年齢でしかできない経験は「取り戻せない」という違いがあります。必要な備えを確保した上で、余力の中から「今しかできない経験」に配分する。この順番が、後悔を減らします。

Q6. 老後に残すお金は、いくら必要ですか。

これも一律には決められません。年金の受給額、持ち家か賃貸か、健康状態、家族構成によって、必要額は大きく変わります。世間で言われる「◯◯万円」という数字を鵜呑みにせず、自分の年金見込みと生活費から逆算して考えることが大切です。不安なら、公的機関の年金試算や、専門家への相談も検討しましょう。

Q7. お金を使いすぎないか、心配です。

その心配がある方こそ、「今しかできないこと予算」を先に決める方法が向いています。使ってよい上限を決めておけば、その範囲内での支出は「計画的なもの」になり、使いすぎを防げます。無制限に使うのではなく、枠を決めて使う。これが、安心して今を楽しむコツです。


まとめ:残高が最大だった人が、成功した人とは限らない

最後に、少しだけ、大きな問いを投げかけさせてください。

人生の最後に、通帳の残高が最も多かった人。その人は、本当に「お金の使い方に成功した人」なのでしょうか。

もちろん、使い切ることが正解だと言いたいわけではありません。お金を使い切って、未来の自分が困るようでは、それはそれで失敗です。

でも、こうも言えるのではないでしょうか。

人生で大切なのは、「いくら使ったか」でも「いくら残したか」でもなく、「その支出によって、人生に何が残ったか」なのだ、と。

お金そのものに、使用期限はありません。100万円は、いつまでたっても100万円です。

けれど、お金を使ってできることには、人生上の「期限」があります。旅行に行ける体力、家族と過ごせる時間、新しいことに挑戦する気力——これらは、静かに、しかし確実に、目減りしていきます。

老後の準備とは、老後のために「今」をなくすことではありません。

未来の自分を守るお金と、今の自分を生かすお金。その両方を持つこと。これこそが、後悔しないお金の使い方の、本当の姿だと思うのです。


今日からできる、最初の一歩

読み終えたら、ぜひ実際に手を動かしてみてください。

まず今日、あなたが「いつかやろう」と思っていることを、3つ書き出してみましょう。

そして、その3つを、こう見つめ直してみてください。

「この中に、10年後では価値が下がってしまうものは、ないだろうか。」

もし、ひとつでもあるなら——それが、あなたが「使いどき」を逃してはいけない、大切なものなのかもしれません。

お金は、大切に貯めるものです。でも同時に、大切なものに、使いどきを逃さず、計画的に使うもの。その両方を、あなたの人生に取り戻してください。

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