最低賃金「歴代2番目の上げ幅」のウラで、実はほとんど動いていない数字とは?

Widget Area
見出し画像

最低賃金「歴代2番目の上げ幅」のウラで、実はほとんど動いていない数字とは?

画像

最低賃金「歴代2番目の上げ幅」のウラで、実はほとんど動いていない数字とは?

「今年も最低賃金が大きく上がったらしい」——そんなニュースを見て、「なんだ、いいことじゃないか」と思った方も多いのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください。同じニュースの中には、実は5年前からほとんど変わっていない数字があります。しかも、それがあなたの住む場所や、あなたの会社の経営に、これからもずっと影響し続ける数字だとしたらどうでしょうか。

2026年9月、2026年度の最低賃金が全国47都道府県すべてで出そろい、全国加重平均は時給1,177円になりました。「歴代2番目の引き上げ幅」という威勢のいい見出しが並ぶ一方で、地域間の格差はほんのわずかしか縮まっていません。

今回は、このニュースに隠れた「5つの数字」をつなげて、表面的な見出しだけでは気づきにくい本当のポイントを見ていきます。

まずニュースを30秒で説明すると?

2026年度の最低賃金(時給)は、全国加重平均で1,177円となりました。前年度の1,121円から56円、率にして約5.0%の引き上げです。10月以降、都道府県ごとに順次適用されます。上げ幅としては前年度の66円に次ぐ、歴代2番目の高水準です。ただし、都道府県別に見ると最高額(東京都1,280円)と最低額(宮崎県1,085円)の差は195円あり、この地域差はここ数年ほとんど縮まっていません。

数字①:全国平均1,177円という「大きさ」

まず基本の数字から確認します。厚生労働省が2026年9月3日に公表したところによると、2026年度の最低賃金は47都道府県すべての答申を反映した全国加重平均で1,177円です。前年度の1,121円から56円の引き上げとなりました。

引き上げ幅の56円は、過去最大だった2025年度の66円には及ばないものの、歴代でも2番目に大きい上げ幅です。全国すべての都道府県で1,000円を超えたのは2025年度が初めてでしたが、その水準からさらに一段上がった形になります。

ここだけを見れば、「今年も賃上げの流れは続いている」というポジティブなニュースに見えます。実際、多くの報道もこの「1,177円」「歴代2番目」という数字を大きく取り上げました。

数字②:目安の段階では「6年ぶりの伸び鈍化」

ところが、話はここで終わりません。国の中央最低賃金審議会が7月28日に示した「目安」の段階では、実は少し違う顔を見せていました。

中央審議会が示した目安は、全国加重平均で55円(4.9%)の引き上げでした。これは前年度に示された目安の63円(6.0%)を下回っており、コロナ禍だった2020年度以来、6年ぶりに引き上げ額・引き上げ率がともに前年を下回る結果でした。政府が掲げていた「2020年代のうちに全国平均1,500円」という目標も、この局面で後退したと報じられています。

つまり、国としての「基本方針」は、明らかにアクセルを緩めていたのです。

数字③:実はここがおかしい——「地方優遇」なのに縮まらない格差

ここでもう一つ、見落としがちな数字があります。

目安の段階では、都市部(Aランク:東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪)が54円、地方(B・Cランク)が56円と、地方の引き上げ額のほうが2円多く設定されました。ニュースでは「地方優遇」「都市と地方の格差是正」といった論調で伝えられています。

一方で、47都道府県のうち33都道府県が、この目安をさらに上回る独自の上乗せをしました。その結果、全国加重平均は目安の1,176円をさらに上回る1,177円に落ち着き、最終的な上げ幅(56円)は歴代2番目という大きな数字に押し上げられたのです。

では、都市と地方の差そのものはどうなったのでしょうか。

  • 2025年度:最高額(東京都1,226円)と最低額(高知県・宮崎県・沖縄県1,023円)の差は203円
  • 2026年度:最高額(東京都1,280円)と最低額(宮崎県1,085円)の差は195円

「地方の引き上げ額のほうが大きい」というニュースの割に、格差は203円から195円へ、たった8円しか縮まっていません。率にすると、縮小したのはわずか4%程度です。「地方優遇」という言葉から受ける印象と、実際の数字の動きには、かなりの開きがあります。

数字④:あなたのお金にすると?

大きな数字を、身近な金額に置き換えてみましょう。

地域格差195円を年収に直すと

最低賃金でフルタイム(月173時間)働いた場合で単純計算すると、東京都と宮崎県の時給差195円は、

  • 月あたり:195円×173時間=約3万3,735円
  • 年間:約40万4,820円(約40万円)

の差になります。同じ時間だけ働いても、住む場所によって年収換算で約40万円もの差が生まれる計算です。

引き上げ分56円を年収に直すと

一方、最低賃金そのものが56円上がったことは、働く人にとってはプラスです。同じくフルタイム月173時間で単純計算すると、

  • 月あたり:56円×173時間=約9,688円
  • 年間:約11万6,256円(約11.6万円)

の収入増になる計算です。

企業側から見ると

雇う側にとっては負担増にもなります。時給ベースで働くパート・アルバイトを10人雇用している職場では、公表値をもとにした試算で、年間およそ78万円〜81万円ほど人件費が増えるとされています。中小企業にとっては軽くない金額です。

数字⑤:ここまで見ると本当の意味がわかる——「1,500円」の後退

最後の数字は、政府が掲げてきた目標そのものです。

政府はこれまで、「2020年代のうちに全国加重平均1,500円」を目指すとしてきました。しかし今回の改定を巡る議論の中で、この目標は「2030年代半ばまでに」という、より現実的なスケジュールへと後ろ倒しされたと報じられています。急激な賃上げが続いたことによる中小企業の倒産リスクへの懸念が、その背景にあるとされます。

5つの数字をつなげると、こう見えてきます。

「1,177円」「歴代2番目」という数字は事実です。しかし同時に、①国としての引き上げペースそのものは鈍化し、②都市と地方の差はほとんど動かず、③目標達成の時期は数年単位で先送りされている。派手な見出しの裏で、構造的な部分はむしろ足踏みしている、というのが実像です。

私たちの生活にはどう関係する?

働く人にとって

最低賃金付近で働く人にとって、時給56円のアップは家計にとってありがたい話です。ただし、それは全国どこでも同じ恩恵というわけではありません。地方で最低賃金に近い時給で働く人は、都市部との差が実質的に埋まらないまま、来年もまた同じ構図のニュースを目にすることになりそうです。

雇う側にとって

パート・アルバイトを多く雇う小売業や飲食業、介護業などでは、人件費の増加分をどう吸収するかが引き続き課題になります。価格への転嫁が難しい業種ほど、負担は重くのしかかります。国は業務改善助成金などの支援策を用意していますが、恩恵を受けられるかどうかは業種や規模によって差があります。

社会全体にとって

「全国平均は上がっている」という社会全体の数字と、「自分の地域ではあまり実感がない」という個人の実感には、これからも一定のズレが残り続けそうです。ニュースの見出しに出てくる「全国平均」の数字だけで、地域や立場ごとの実態まで判断しないことが大切です。

よくある質問

Q1. 2026年度の最低賃金はいくらになりましたか? 全国加重平均で時給1,177円です。前年度の1,121円から56円、約5.0%の引き上げで、2026年10月以降、都道府県ごとに順次適用されます。

Q2. 最低賃金が一番高い都道府県と一番低い都道府県はどこですか? 最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です。両者の差は195円で、フルタイム換算すると年収にして約40万円の差になります。

Q3. 最低賃金の地域格差は縮まっているのですか? ほとんど縮まっていません。前年度の最高額と最低額の差は203円でしたが、今年度は195円と、8円縮まったのみです。地方の引き上げ額が都市部より大きく設定された年であっても、実際の格差はわずかしか動きませんでした。

Q4. 最低賃金が56円上がると、収入はどのくらい増えますか? 最低賃金でフルタイム(月173時間)働いた場合の単純計算では、月あたり約9,700円、年間で約11.6万円の収入増になります。ただし実際の増加額は勤務時間や地域によって異なります。

Q5. 政府が掲げてきた「時給1,500円」の目標はどうなりましたか? 当初は「2020年代のうちに」達成を目指すとしていましたが、今回の議論の中で「2030年代半ばまでに」と、目標時期が後ろ倒しされたと報じられています。

まとめ

ニュースでは「最低賃金1,177円、歴代2番目の引き上げ」という数字が注目されています。しかし5つの数字をつなげると、本当に注目すべきなのは「地域格差がほぼ固定化されていること」と「政府目標そのものが数年単位で先送りされていること」だと分かります。

次に最低賃金のニュースを見るときは、「全国平均がいくら上がったか」だけでなく、「最も高い地域と最も低い地域の差が、前年から何円縮まったのか」という数字にも、ぜひ注目してみてください。そこにこそ、ニュースの見出しだけでは見えてこない本当の姿が隠れています。

画像


PR:
生成AIを活用して作成したマンガ、書籍と執筆した本(Kindle Unlimited ユーザーは無料で購読できます)是非、手に取ってみてもらえると。

40代から始めるキャリア・リスキリング予備校の教科書: 今からでも間に合う!人生100年時代の最強転身メソッドamzn.to

499円(2026年08月15日 07:16時点 詳しくはこちら)

Amazon.co.jpで購入する

マンガでわかる成功の方程式: キャリアと人生のバランスamzn.to

499円(2026年08月15日 07:16時点 詳しくはこちら)

Amazon.co.jpで購入する

マンガでわかる人望の集め方、心理学の秘訣amzn.to

399円(2026年08月15日 07:16時点 詳しくはこちら)

Amazon.co.jpで購入する


AIに関する無料相談のご案内(会社名AIdeasHD LLC)
生成AIを活用したさまざまな日常業務の改善による生産性向上を提案しております。
ご興味がある方は
こちら
もしくは
aideashd@gmail.comからご相談ください。
無料でご相談いただけます。

著者紹介(橋本 正人)
著者は、AIの活用で企業業務に従事してきており、その後、独立しプロンプトの技術であるプロンプトエンジニアを取得し、生成AIを活用したさまざまな日常業務の改善による生産性向上を提案しております。
AIのことをメインにしてますが、AIにはできない想像力豊かなアイデアで独特な絵を描くGiftedなレンくん(保育園から書いていてちょっと有名?今は2年生でも展示会に出品されるなどでちょっと有名?)が書いたほのぼのとした作品をYou Tubeで公開しています。
よかったらみてみてください!
ほのぼの画家Renくん
https://www.youtube.com/@HeartwarmingPainterRen

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です