「賃上げ5%でも月+7千円」住宅ローン金利の落とし穴

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「賃上げ5%でも月+7千円」住宅ローン金利の落とし穴

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「賃上げ5%でも月+7千円」住宅ローン金利の落とし穴

はじめに:昇給したのに、なぜか財布が軽いままのあなたへ

「今年は5%上がったらしいよ、春闘」

ニュースでそう聞いて、ちょっとうれしくなりませんでしたか?

実際、2026年の春闘の賃上げ率は5.01%。3年連続で5%を超えました。物価を差し引いた実質賃金も7月まで7カ月連続でプラス。数字だけ見れば、久しぶりに「給料が勝っている」年です。

でも、給与明細を見て、こう思った人も多いはずです。

「……あれ、思ったより増えてない?」

さらに、こんなことを考え始めていませんか。

  • 「昇給したし、週末の外食くらいは増やしてもいいよね」
  • 「住宅ローンの金利が上がったってニュースは見たけど、返済額は変わってないし大丈夫でしょ」

もし少しでもドキッとしたら、この記事はあなたのためのものです。

先にお伝えしておきます。今年の昇給分は、住宅ローンの金利上昇に「先回り」して食べられ始めています。 しかも、そのことに気づきにくい仕組みになっているのです。

この記事では、

  • 昇給と金利上昇、どちらが勝っているのかを数字で比べる
  • 多くの人が見落としている「3つの落とし穴」
  • 昇給分を守るために、今週できること

を、できるだけわかりやすくお話しします。


給料vs金利、本当に勝っているのはどっち?

賃上げ5%は、手取りにすると「約1.2万円」

まず、給料の側から見てみましょう。

月給30万円の人が5%上がると、額面では約1万5,000円のアップです。ただし、ここから所得税・住民税・社会保険料が引かれます。手元に残るのは、おおよそ1万1,000〜1万2,000円です。

「5%」という数字の響きよりも、ずっと控えめですよね。実際、最近の調査でも、収入への不満の理由として最も多かったのは「物価高に対応できない」で、45%にのぼっています。「上がった実感がない」と感じているのは、あなただけではありません。

金利+0.5%で、月約7,000円が出ていく

次に、住宅ローンの側です。

日銀は2026年9月に政策金利を1.25%へ引き上げました。約31年ぶりの水準です。10月には大手銀行が相次いで変動金利を引き上げ、平均は1.3%を超えました。

ローン残高3,000万円・残り30年、今の金利が0.8%の家庭で計算すると、こうなります。

毎月の変化 昇給分(手取り約1.2万円)との比較 昇給(5%) +約12,000円 ― 金利+0.5%(1.3%) −約6,900円 昇給分の約6割が消える 金利+1.0%(1.8%) −約14,100円 昇給分がまるごと消える

金利が0.5%上がるだけで、昇給分の半分以上が住宅ローンに吸い込まれていきます。1%上がれば、昇給はなかったのと同じ。むしろ少しマイナスです。

「給料が上がったのに楽にならない」というモヤモヤは、気のせいではなかったのです。


見落としがちな「3つの落とし穴」

ここからが本題です。住宅ローンの金利上昇には、ニュースだけでは見えない落とし穴が3つあります。

落とし穴1:返済額は同じなのに、借金が減らなくなる

「でも、うちは返済額が変わってないよ?」

そう思った方。実はそれこそが、最初の落とし穴です。

変動金利の住宅ローンの多くには、**「5年ルール」と「125%ルール」**があります。

  • 5年ルール:金利が上がっても、毎月の返済額は5年間そのまま
  • 125%ルール:5年後に返済額が上がっても、それまでの1.25倍まで

一見、やさしいルールです。でも、返済額が同じでも中身は変わっています。

残高3,000万円・毎月約93,800円返済の家庭で、金利が0.8%から1.8%に上がった場合を見てみましょう。

金利0.8% 金利1.8% 毎月の返済額 約93,800円 約93,800円(同じ) うち利息 約20,000円 約45,000円 うち元本 約73,800円 約48,800円

返済額は同じなのに、借金の減り方は毎月2万5,000円も少なくなります。

これが5年続くとどうなるか。試算すると、5年後のローン残高は、金利が上がらなかった場合より約145万円も多く残る計算になります。そして5年後の見直しでは、毎月の返済額が約93,800円から約111,600円へ、一気に約1万8,000円アップします。

「変わらない」と思っていた5年間は、実は負担を後ろにためこんでいた5年間だったのです。

落とし穴2:負担は「昇給より遅れて」やってくる

2つ目の落とし穴は、タイミングのズレです。

昇給は、春から給与明細にすぐ反映されます。一方、金利上昇が返済に届くのは、ずっと後です。

  • 2026年6月の利上げ分 → 返済に反映されるのは2027年1月以降
  • 2026年9月の利上げ分 → 返済に反映されるのは2027年7月以降の見込み
  • 5年ルールがあれば、返済額の変化はさらに先

つまり、「増えたお金」は今すぐ手元に来るのに、「出ていくお金」は1年後、5年後に遅れて届くのです。

この時間差がくせ者です。昇給分をなんとなく生活費や娯楽に回しているうちに、生活水準が上がってしまう。そのころに返済増がやってくると、「なぜか毎月苦しい」家計ができあがります。

架空の事例:Bさん一家(30代後半・共働き・子ども1人)の場合 夫婦ともに昇給し、世帯の手取りが月2万円ほど増えたBさん。「せっかくだから」と動画配信サービスを2つ追加し、週末の外食を1回増やしました。気づけば昇給分はほぼ使い切り。銀行から届いた「金利変更のお知らせ」を見て、「返済額は変わらないって書いてあるから大丈夫」と引き出しにしまいました。……そう、まさに落とし穴1と2のダブルパンチです。

落とし穴3:「繰上返済しないほうが得」の常識が崩れた

3つ目は、住宅ローン控除にまつわる落とし穴です。

これまでよく言われてきたのが、「住宅ローン控除があるうちは繰上返済しないほうが得」という話。控除では年末のローン残高の**0.7%**が戻ってくるので、金利が0.7%より低ければ、借りたままのほうがお金が増える「逆ザヤ」の状態だったからです。

でも、変動金利が1.3%前後になった今、金利が控除率0.7%を上回る家庭が一気に増えました。

つまり、「控除があるから借りたままでいい」という常識は、多くの家庭ですでに通用しなくなっています。数年前に聞いたアドバイスを、そのまま信じ続けていないか、一度見直してみてください。


昇給分を守る「天引き作戦」

落とし穴の正体がわかったところで、対策です。ポイントはたったひとつ。

昇給分は、使う前に「なかったこと」にする。

ステップ1:昇給分を「金利対策口座」に自動で移す

給料日に、昇給で増えた分(例:月1万2,000円)を別の口座へ自動で振り替える設定をします。多くの銀行で「定額自動振替」や「自動入金」の機能が使えます。

先に移してしまえば、生活水準は昇給前のまま。意志の力に頼る必要はありません。

  • 金利が上がらなかった → 貯金としてまるごと残る
  • 金利が上がった → 増えた返済にそのまま回せる

どちらに転んでも損をしない、いちばん手堅い守り方です。月1万2,000円でも、1年で約14万円、5年で約72万円になります。

ステップ2:ある程度たまったら「期間短縮型」で繰上返済

たまったお金は、家計に余裕があれば繰上返済の選択肢にもなります。

残高3,000万円・金利1.3%・残り30年で、100万円を「期間短縮型」で繰上返済すると、利息が約47万円減り、返済期間が1年以上短くなります。

ただし、次の順番は必ず守ってください。

  1. 生活費の6カ月分は、必ず手元に残す
  2. 教育費など、使い道が決まっているお金には手をつけない
  3. 新NISAの積立は、無理に止めない
  4. それでも余ったお金を、繰上返済にあてる

ステップ3:あわてて固定金利に飛びつかない

「怖いから固定金利にしよう」と思った方は、ちょっと待ってください。

いまメガバンクの10年固定は約3.8%、フラット35は約3.5%。変動金利との差は2ポイント以上で、過去最大の開きです。先ほどの例で変動0.8%から固定3.8%に替えると、毎月の返済は約4万6,000円も増えます。

固定への切り替えは「金利が1%上がったら家計が回らない」とわかった家庭が、諸費用も含めて計算したうえで選ぶ手段です。不安だけで決めると、昇給分どころか家計全体を苦しめてしまいます。


今すぐ動くべき家庭・落ち着いていい家庭

今すぐ動くべき家庭

  • 自分のローン金利と残高を、今この場で言えない
  • 昇給分を、すでに生活費や娯楽で使い切っている
  • 返済が月1万円増えたら、家計が赤字になる

落ち着いて様子を見ていい家庭

  • 金利・残高・5年ルールの有無を把握している
  • 昇給分を天引きでためる仕組みがある
  • 生活費の6カ月分以上の貯金がある

大切なのは、「様子を見る」と「放っておく」は別物だということ。数字を知ったうえで待つのは、立派な作戦です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 賃上げしたのに手取りが増えないのはなぜですか?

額面が上がっても、そこから所得税・住民税・社会保険料が引かれるため、手取りの増え方は額面より小さくなります。月給30万円で5%昇給した場合、額面は約1万5,000円増えますが、手取りの増加はおおよそ1万1,000〜1万2,000円です。さらに物価上昇の影響もあり、「増えた実感」が得にくくなっています。

Q2. 日銀が利上げしたら、住宅ローンの返済はいつ増えますか?

変動金利の多くは年2回(4月・10月)に金利を見直し、その数カ月後から返済に反映されます。2026年6月の利上げ分は2027年1月以降、9月の利上げ分は2027年7月以降の返済に反映される見込みです。5年ルールがある場合、毎月の返済額が変わるのはさらに先になります。

Q3. 5年ルールがあれば、金利が上がっても安心ですか?

安心とは言えません。返済額は変わらなくても、利息の割合が増えて元本の減りが遅くなります。金利が0.8%から1.8%に上がると、5年後の残高は約145万円多く残り、その後の返済額は月約1万8,000円上がる計算になります。

Q4. 昇給分は繰上返済と新NISA、どちらに回すべきですか?

まずは生活費の6カ月分を確保することが先です。そのうえで、昇給分を「金利対策口座」にため、新NISAの積立は続けながら、余裕ができたら一部を繰上返済にあてる「両方少しずつ」が現実的です。ローン金利が住宅ローン控除の控除率(0.7%)を上回っている場合は、繰上返済の効果が大きくなります。


今週やること:30分で昇給分を守る3ステップ

最後に、この記事を読み終えたら、今週中にこの3つだけやってみてください。

  1. 銀行アプリで、金利・残高・残り期間・5年ルールの有無を確認する(10分)
  2. 返済シミュレーターで「金利+1%」を試算し、昇給分と比べる(10分)
  3. 給料日に、昇給分を「金利対策口座」へ自動で移す設定をする(10分)

昇給は、がんばってきたあなたへのご褒美です。だからこそ、気づかないうちに住宅ローンに吸い取られてしまうのは、もったいない。

昇給分を「使う」前に「守る」。 その小さな順番の入れ替えが、5年後のあなたの家計を、きっと楽にしてくれます。まずは今夜、銀行アプリを開くところから始めてみてください。

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