

「今年こそ家計簿をつけて、しっかり貯金するぞ!」
そう決意して家計簿アプリを入れたのに、気づけば1週間で開かなくなった。レシートは財布の中でくしゃくしゃのまま。月末に「今月もまた使いすぎた……」と落ち込む。
もしあなたがこんな経験をしているなら、少しだけ安心してください。あなたはまったく珍しくありません。
そして、もうひとつお伝えしたいことがあります。
家計簿が続かなかったのは、あなたの根気が足りなかったからではありません。そもそも記録する「場所」が違っていたのです。
この記事では、お金の家計簿の代わりに**「時間の家計簿」**をつけることで、面倒な記録なしに貯金体質になる3ステップをご紹介します。家計簿に挫折した人ほど、「なるほど、こっちだったのか」と感じてもらえるはずです。
先に結論をお伝えします。
お金の使い方は、時間の使い方の「結果」です。
こうして見ると、お金が出ていく前には必ず「時間の使い方」があります。川にたとえるなら、時間が上流、お金が下流です。
お金の家計簿は、下流で「どれだけ水が流れたか」を記録するもの。もちろん大切ですが、流れを変えるには上流から手を入れる必要があります。
**時間の家計簿は、お金の家計簿の”上流”にある。**だから、時間を整えると、お金は自然に整っていくのです。
まずは、家計簿をめぐるリアルな状況を見てみましょう。
ある家計管理の実態調査では、79%の人が家計簿をつけたことがあると答えています。ところが、回答者全体の24%、つまり約4人に1人は途中でやめてしまっていました。経験者だけで見ると、約3人に1人が挫折している計算です。
やめた理由として多かったのが、**「効果が感じられない」「記録が面倒」**という声です。
さらに、同じ調査では約9割の人が将来の家計に不安を感じていることがわかりました。不安の1位は「物価上昇」です。
お金のことは不安。だから管理したい。でも家計簿は続かない。このジレンマを抱えている人はとても多いのです。
ここで、私自身の話をさせてください。
私はこれまでに3回、家計簿に挫折しています。
1回目は、かわいいノートを買って手書きで始めたとき。3日目にレシートをためこんでしまい、1週間後には書くのをやめました。
2回目は、家計簿アプリを入れたとき。自動で記録されるのは便利でしたが、「食費が月○万円」とわかっても、じゃあ何をどう変えればいいのかがわからない。だんだんアプリを開かなくなりました。
3回目は、「今度こそ」と気合いを入れて、すべての支出を1円単位で記録したとき。2週間でぐったり疲れて、やめてしまいました。
そんな私が貯金できるようになったきっかけは、お金ではなく時間を記録してみたことでした。「平日の夜、何をしているか」を3日間書き出しただけで、お金が出ていく原因が手に取るようにわかったのです。
今日のアクション: これまでに家計簿をやめた理由を1つ思い出してみましょう。「面倒」「効果がわからない」なら、時間の家計簿がきっと合います。
ここで、ちょっと意外なデータをご紹介します。
国の大規模な生活時間調査によると、日本人の1日の自由時間(余暇)は平均6時間16分。睡眠や食事、仕事や家事の時間を除いても、1日に6時間以上の自由な時間があることになります。
その内訳を見ると、
となっています。
もちろん、これは全年代の平均なので、働き盛りの世代はもっと少ないはずです。それでも、「時間がない」と感じている人の多くが、実は「何に使ったか覚えていない時間」をそれなりに持っていることがわかります。
別の時間意識調査では、「時間に追われている」と感じる人は63.4%。この割合は、10年間ほとんど変わっていません。
時間に追われているのに、自由時間はある。この矛盾の正体は、時間の使い道が「見えていない」ことです。
お金と同じで、時間も「なんとなく」使っていると、どこに消えたのかわからなくなります。そして、その「なんとなくの時間」こそが、なんとなくの出費を生んでいるのです。
ちなみに同じ調査では、自由時間1時間の価値は11,305円と評価されています。それほど価値ある時間が、見えないところで消えていると考えると、ちょっともったいないですよね。
経営学者のドラッカーは、成果をあげる人は仕事から始めるのではなく、時間から始めると述べ、まず時間の使い方を記録することをすすめました。時間の家計簿は、仕事だけでなく、家計にもそのまま使える考え方なのです。
ここからは、具体的なやり方をご紹介します。必要なのは、紙1枚かスマホのメモだけ。お金の家計簿のように、1円単位で記録する必要はありません。
まずは、3日間だけ、自分が何に時間を使ったかを記録します。
記録のコツ
この「¥」マークが、時間の家計簿のいちばんのポイントです。どの時間帯に、どんな状態のときにお金を使っているかが、一目でわかるようになります。
「1週間」や「1か月」ではなく「3日間」なのは、続けることより一度ちゃんと見ることが大事だからです。3日あれば、自分の時間の使い方のクセは十分に見えてきます。
3日分の記録がたまったら、それぞれの時間を3つの色で仕分けます。お金の使い方でよく言われる「消費・浪費・投資」の、時間バージョンです。
色 時間の種類 例 🟢 緑 投資の時間(未来の自分のため) 勉強、運動、睡眠、家族との時間、作り置き 🟡 黄 消費の時間(生活に必要) 仕事、通勤、家事、食事、身支度 🔴 赤 浪費の時間(なんとなく過ぎた) SNSのダラダラ見、目的のないネットサーフィン、だらだらテレビ
仕分けが終わったら、「¥」マークがどの色に多くついているかを見てみましょう。
多くの人は、ここで驚きます。「¥」マークの多くが、赤(浪費の時間)に集中しているのです。
**浪費の時間が、浪費のお金を生んでいる。**この関係が見えたら、ステップ2は完了です。
最後のステップは、時間に予算をつけることです。お金の予算と同じように、1週間の時間の使い方を先に決めてしまいます。
時間の予算の立て方
ここでおすすめしたいのが、**「時間の先取り」**という考え方です。お金の世界では、給料が入ったら先に貯金する「先取り貯金」が効果的だと言われますよね。時間も同じで、大切な緑の時間を、先にカレンダーに入れてしまうのです。
そして、お金のほうも先取り貯金を自動化しておきましょう。赤の時間が減って浮いたお金は、放っておくとまた別のことに使われてしまいます。給料日に一定額が自動で貯蓄用口座やつみたてNISAへ移るように設定しておけば、時間の家計簿で生まれたお金が確実に貯まっていきます。
今日のアクション: 今日の夜から、30分ごとに何をしたかをメモしてみましょう。お金を使った時間には「¥」をつけるのを忘れずに。
ここで、架空のモデルケースをご紹介します。
Eさんは会社員で、小学生の子どもが1人います。これまで家計簿アプリを2回挫折。「時間がない」が口ぐせでした。
試しに3日間、時間の家計簿をつけてみたところ、**平日の夜21時〜23時の約2時間が、ほぼ赤(浪費の時間)**だったことがわかりました。SNSや動画を見ながら、ネット通販やお菓子の追加購入をしていたのです。さらに、夜更かしのせいで朝が慌ただしくなり、コンビニでの朝食やランチの購入が増えていました。
そこでEさんは、次のように時間の予算をつけました。
3か月後の変化は、次のとおりです。
項目 始める前 3か月後 赤(浪費)の時間 週 約14時間 週 約7時間 緑(投資)の時間 週 約3時間 週 約8時間 赤の時間に使ったお金 月 約35,000円 月 約15,000円 浮いたお金 ― 月 約20,000円
月2万円 × 12か月 = 年間24万円。
Eさんは、お金の記録は一切していません。時間の使い方を変えただけで、お金の流れが自然に変わったのです。「1円単位で家計簿をつけていたころより、ずっと楽で効果がある」と話しています。
次のような人には、特に時間の家計簿がおすすめです。
一方で、家賃や保険などの固定費が大きすぎる場合は、時間の家計簿だけでは限界があります。その場合は、時間の家計簿で生まれた緑の時間を使って、固定費の見直しに取り組んでみてください。
A. 1日の時間の使い方を記録し、「投資・消費・浪費」の3つに仕分けて見直す方法です。お金の使い方は時間の使い方の結果なので、時間を整えることで、お金の流れも自然に整っていきます。
A. 多くの人が「記録が面倒」「効果が感じられない」ことを理由にやめています。お金の家計簿は結果を記録するものなので、何を変えればいいかがわかりにくいのです。時間の家計簿なら、出費の「原因」が見えるので、行動を変えやすくなります。
A. 続ける必要はありません。まずは3日間だけで十分です。3日あれば、自分の時間の使い方のクセは見えてきます。その後は、月に1回程度、3日間だけ記録して見直すのがおすすめです。
A. 国の生活時間調査によると、1日の自由時間(余暇)は平均6時間16分です。そのうち「休養・くつろぎ」が1時間57分で、5年前より20分増えています。
A. 今日から3日間、30分単位で時間の使い方をメモし、お金を使った時間に「¥」マークをつけてみましょう。あわせて、給料日の先取り貯金を自動化しておくと、浮いたお金が確実に貯まります。
ここまで読んでくださったあなたは、もう気づいているはずです。
お金が貯まらなかったのは、お金の使い方が下手だったからではなく、時間の使い方が見えていなかったからだということに。
時間の家計簿は、たった3ステップです。
お金の家計簿のように、レシートを集める必要も、1円単位で計算する必要もありません。必要なのは、紙1枚と3日間だけです。
今日の夜、寝る前に、今日1日の時間を思い出して書き出すことから始めてみてください。
時間の流れが変われば、お金の流れも変わる。 上流を整えたあなたは、もう「貯まらない人」ではありません。

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